「地下鉄にパンタグラフはついていない」そういって怒鳴り込んできた人がいました。

ちょうどJMAMさんで、システム手帳用ののりかえ便利マップが発売された時期でした。「パンタグラフが点いていた方が可愛いから、デザインでつけています」と説明しても、なかなか納得してもらえず、いつまでも帰りません。学生みたいなので聞くと、早稲田の鉄道研究会の学生だと言います。正直こだわりの強そうな人で、敵に回すとクレーマー化しそうだったので「そんなに気になるのであれば、当社でバイトしませんか?」と聞くと、「やる」というので、ちょうどその頃、横浜市営地下鉄の50周年記念のガイドブックを作成していたので、調査をお願いすることにしました。

すると、通常であれば2週間で終わる調査をみっちり、1ヶ月近くやって、完璧なものを作成してきたのには驚きました!バイト代も2週間分しか払っていないにも関わらず、文句ひとつ言わず、嬉々として調査をしてくれるこの学生を見て、「これは使える!」と直感しました。

そこで、この鉄道研究会のネットワークを全国に広げることにしました。

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それまでは、名古屋や大阪、福岡など、地下鉄の調査には社員が行っていました。その地域の大学の学生に任せられるようになれば、その分の費用が浮くのと、4年生が卒業しても1年生が引き継いでくれるので、安定して調査をしてくれるようになり、一石二鳥だと感じたからです。

まずは学生課に電話をし、鉄道研究会の有無を確認し、あれば会社のパンフレットを送るので、部室に届けてほしいとお願いし、全国の大学に説明に行き、賛同者を増やしていきました。

このネットワークによって、全国の鉄道調査が安定してできるようになったり、学生さんたちが頻繁に会社に出入りし、質の高いデータが作成できるようになったり、鉄道会社に就職を頼まれたりと、一気ににぎやかになっていきました。鉄道研究会の学生も、そのマニアックな知識を純粋に仕事に役立てられる会社がある、ということで、口コミで当社の噂は広がり、JRのシャコケンの後などは全国から鉄道研究会の学生が当社に集まる、
といった、ちょっと変わった現象がしばらく続きました。

その後、鉄道研究会による全国調査ができるということで、情報誌の下調査なども受託するようになります。

行列のできるデパ地下を取材してほしい、という依頼などをうけるようになりますが、ここで一つ、深刻な問題が持ち上がります。

なぜなら、鉄道研究会の学生は鉄道と駅にしか興味がなく、デパ地下とか、オシャレなカフェとかには、興味がないため、全然真剣に調査してくれないとうことが判明したのです!せっかくの全国調査のネットワークも鉄道調査に限定となると、仕事の幅が狭くなってしまいます。そこでその頃、当社は世田谷区の経堂というところにオフィスがあり、たくさんの近所のパートの主婦の人が出入りしていました。

「主婦の人だったら全国にいるし、エンタメ系のやってくれるのでは?」  

そう考えて、鉄道研究会の学生のネットワークと並行して、全国の主婦のネットワークを作り始めます。その頃はまだ、インターネットがなく、あくまでも登録制でやり取りは電話でのスタートでした。

その後、インターネットが普及して「Sohos Style」というサイトを立ち上げていきます。

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そしてこの「地域特派員」の全国の主婦のネットワークが、 当社の一番の強みになっています。この63400人の人の92%は女性で、大体下のお子さんが小学校3年生までの若いお母さん方が中心です。

最初は世田谷の周辺のパートさんからスタートし、インターネットができると「Sohos Style」というサイトを作ったところ、大反響で、宣伝もしていないのに、登録者がどんどん増えていきました。

また、先進的な取り組みであったため、たくさんの取材が全国から入り、頻繁にテレビの取材が入るようになります。
また同時期にスタートした「毎日特売」というサービスが、朝の4時から新聞の折り込みチラシの特売情報を主婦が入力する、というサービスが、とてもわかりやすく、主婦向けだったため、この2つのサービスをセットでよく取り上げてもらうようになりました。今のクラウドワークのサキガケのようなものです。

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はSohos Styleの反響の大きさと会員増には、明確な理由がありました。

その頃、求人サイトの営業マンが言っていたのが、検索バーで一番多い検索キーワードが「内職」だといっていました。次に「バイト」だそうで、そのくらい「内職」したい人はとても多いのに、まっとうなサービスが一つもありませんでした。「内職」と検索すると出るのは3つしかありませんでした。

一つは内職詐欺のような高額商材を買わせるサイト。PCや通信環境をそろえれば○○稼げます!といったものです。もう一つは出会い系のサクラ。時給2700円というものは、大体この手のサクラでした。最後の一つは懸賞サイトかアフェリエイトで、一回登録してしまうと、死ぬほど変なメールがきたりするものです。

このように、やりたい人はたくさんいるのに、ちゃんとしたサイトが一つもない、という状況だったので、需要と供給のバランスから考えて、ちゃんとしたサイトさえ作れば、絶対にニーズがあるに違いないと思いました。

無題3Aの考え方をSOHO事業へ」

そこで当社のメインクライアントである鉄道会社さんの「3A」の精神を、内職サイトにもってくる、というコンセプトで、SOHOS STYLEというサイトを始めました。

鉄道会社の3Aというのは「安心、安全、安定」の3つのAのことで、旦那さんが見ても、安心して、仕事をしていいよ、と応援してくれるような、危険のない、ちゃんとした安心なサイトを作ろうということを徹底しました。

私自身、子供が小さい頃からずっと働いてきて思うのは、女性が働く上で、一番大事なのは、家族の理解です。家族に理解して応援してもらえなければ、とても続けられるものではありません。

そこで「月3万円稼ごう!ハワイはダメでも、グアムに行こう!」というキャッチフレーズで、サイトを始めました。月3万円で年間36万、あなたの稼ぎで家族4人、グアムなら行けます。きっと家族はあなたをリスペクトするでしょう、というキャッチコピーをつけました。そして、このキャッチコピーは主婦の心を見事にとらえ、たくさんの若いお母さん方が、月3万円を目指し登録してくれました。

今では、SOHO LIFEを見ると、旦那さんやお子さんと一緒に撮った写真と一緒に、おじいちゃん、おばあちゃんまで写った写真がアップされています。

そういった写真を見ると、大事な家族の記念写真をSOHOS STYLEにアップしてもらえる信頼を得られるようなサービスに育って、本当にありがたいことだと思っています。

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