データ・リストの販売、調査代行ならナビット > 空き家調査 > 2/17(水) なぜ今、「空き家調査」が必要なのか?
こんにちは、ティーです。
最近、当社ナビットでは、空き家調査を開始致しました!
全国58,100人の在宅ワーカーの主婦の地域調査員により、物件が空き家かどうか、空き家の状況、物件の持ち主の情報などを収集し、わかりやすくご報告いたします。 空き家の所有者、不動産業者、地方自治体など空き家の利活用を考えている方にとって強い味方となりますので、ご期待下さい。
今回は「なぜ今、空き家調査が必要なのか?」について解説したいと思います。
1.増加していく空き家
上の図からわかる通り、少子高齢化の影響で年々空き家は増加する傾向にあり、
野村総研さんの予測では、今の空き家率13.5%に対し、20年後の平成45年には、空き家の率は30.2%にもなり、3軒のうち1軒は空き家になるという試算がでています。
しかもこの数値は一軒家だけではなく、アパートやマンションなども含まれた数字のため、いかに空き家問題が深刻か?がよくわかります。
2.空き家の増加がもたらす弊害とは?
では、実際に空き家が増えるとどんな問題が起きるのでしょうか?
空き家が増えると、治安・景観が悪化し、老朽化による倒壊が危ぶまれるようになります。具体的にはガス漏れでガス爆発したり、地震で屋根の瓦が落ちてきたりしてとても危険です。また自治体や国は、税金を取る頭数が減ってしまうため、税収が大きく落ち込んでしまいます。
しかし、空き家の所有者で、空き家を解体したり、利活用しようと考えている人が少ないのが現状です。それには、今までは税金上の特例があったからです。
「土地に建物がある場合、その土地の固定資産税が最大で1/6まで優遇される」という特例です。この特例は、高度経済成長期、住宅の供給不足を解消するために成立したもので、住宅不足問題を解消する為の大昔の特例が、空き家増加という、現代の社会問題を助長していました。
この特例によれば、空き家を解体するだけで、土地の固定資産税が最大4.2倍まで増えてしまいます。加えて、解体の費用もバカにはなりません。その為、空き家がどれだけ老朽化しても、誰も解体などしたいとは思わず、今のような空き家がどんどん放置される素地がつくられました。
空き家の所有者にしてみれば、特例で土地の固有資産税が1/6になっていると言っても、自分が住んでいない家の税金を払っている訳ですから、負担感はとても大きいはずです。
それに、空き家を売ろうにも、中古物件のニーズは低くなかなか売れません。
また、自治体の方も、空き家が増えることによって、税収が減ってしまいます。
空き家は「更地」として扱われ、更地の固定資産税は評価額の70%となる為です。
上記の事情から、最近では国を上げての、本気の空き家を有効活用化の動きが活発化しています。
2月12日(金)、「東京・大田区が住宅の空き部屋に旅行者などを宿泊させる、いわゆる「民泊」の物件を全国で初めて認定した」と言うニュースがありました。
今後この件をモデルケースとして、地域の空き家を民泊やオフィス利用などに活用する動きが、一気に加速することでしょう。
3.「空き家対策特別措置法」とは?
空き家問題に対する法規制も整備されました。
昨年2015年5月26日、空き家対策特別措置法が、全面的に施行されました。
これによって、自治体の権限が法的に位置付けられ、空き家対策が本格的にスタートしたのです。
自治体は、衛生上の問題や倒壊の恐れがある空き家(特定空家)の所有者に対し、撤去及び修繕を勧告・命令できます。 勧告・命令を受けてしまうと、特定空き家は、土地の固定資産税に関する特例の対象外となります。つまり、建物があっても土地の固定資産税は1/6に優遇されなくなるのです。
また、命令に違反すると、50万円以下の過料に処せられます。 しかし、所有者が勧告・命令の内容を実施し、勧告・命令が撤回されると、固定資産税等の住宅用地特例の要件を満たす土地は、再び特例が適用されます。その為、特定空き家として勧告・命令された所有者は、空き家を放置しておくメリットがまったくないので、自主的に空き家を解体するか、利活用するようにならざるをえなくなるのです!
4.なぜ今、空き家調査が重要なのか?
しかし、空き家を利活用する際に、いくつかの面倒な作業があります。
例えば、自治体が上記の特別措置法を実施するにあたり、やる作業の大まかな流れは以下の6つです。
1.空き家がどこにあるか?の空き家の情報をまず把握します。
2.その空き家が本当に空き家なのか?たまたま海外赴任などで数年空いていて、また使う予定なのか?といった、個々人の事情を、空き家の所有者に確認を行います。
3.そのために、不動産登記情報の所有者事項を使い、空き家の所有者を探し出し、空き家として空き家バンクに登録してもいいか?の許可を取るための連絡をします。
4.OKなら、住民基本台帳に空き家の旨を記載し、空き家バンクへの登録を行います。
5.空き家であっても、空き家バンクへの登録や利活用への非協力的だった場合は、勧告を行い、「特定空き家」として固定資産税の1/6控除をなくし、通常の住居なみの固定資産税を請求する手続きを行います。
6.希望者には民間の事業者への橋渡しをして、空き家率低下になるよう鋭意努力します。
※「空き家バンク」は国が運営する空き家を案内するサイトです。民間業者で似たようなサイトがありますので、ご注意下さい。
「空き家バンク」はこちら。
※民間の事業者で、所有者の許可も取らないで、勝手に空き家と判定して掲載しているサイトがありますのでご注意下さい。もしあなたがただ海外赴任をしている間に、あなたの家が空き家として勝手に登録され、画像までアップされていたらどうでしょうか?とたんに泥棒に狙われたり、落書きされたりと、犯罪の温床となり、とても危険です!
空き家をお持ちの方は、こういった不動産サイトに勝手に登録されていないか?をチェックされて下さい。もし勝手に掲載されていた場合は、プライバシー侵害にあたりますので所定の書式に基づき処理を行ってください。
所定の書式のダウンロードはこちら。
おわかりですか?
一口に空き家の利活用といっても、上記のような煩雑な作業が必要です。
まず、一番大変なのが、この所有者に空き家と認めてもらい、空き家バンクに登録してもらう、という作業です。
というのは、H24年に実施された、豊島区の空き家実態調査のでは、空き家386物件のうちの所有者事項に基づく461名へのアンケートでは、回収率自体がわずか17.6%の81名で、そのうちの81.5%の66名が空き家ではなく、実際に物置や別荘として使用しているとの回答でした。空き家として利活用を希望されている14名の50%が、昭和56年以前の登記物件のため、区として現在の耐震基準を満たしていませんでした。ということで、実際に空き家として利活用の可能性があったのが386物件のうちの7件、全体の1.8%しかありませんでした。
上記のように、空き家調査では空き家の所有者への連絡が殆どつかない、という課題や、どちらかというと耐震などのリフォーム、解体の費用への助成金の利活用といった、金銭的なサポートがより重要なようです。
この特別措置法は、今年2016年の4月から自治体ごとに実施されていきます。
よって、全国規模で大量の空き家調査のニーズが今後発生するんですね!
如何ですか?
空き家調査がなぜ、今重要なのか?をご理解いただけましたか?
本日は以上になります。
次回は「空き家調査と不動産登記情報と地番のお話し」です。
お楽しみに♪